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不登校には段階がある
不登校と向き合うときに大切なのは、まず、「目の前の子どもを正しく理解する」ことからスタートすることです。どんな苦しみを抱え、どんな生きづらさの中にいるのか、それを理解しようと寄り添ってくれる大人の存在が求められていると考えられます。
≪不登校の状態≫
エネルギーが切れてしまってガス欠の車のようにいくらアクセルを踏み込んでも動かない。しばらく休んでいるとガソリンが少し溜まってくる。そして学校に行くとすぐにガソリンがなくなってしまう。
休むか休まないかの緊張状態の日々→葛藤が繰り返され「行く」「行かない」がせめぎあった結果エネルギーが枯渇していき、全く行くことができない状態となる。
「渋滞期」:行くと休むの繰り返し
「不登校」とは、不快な場面を避け、わが身を守るための、窮地の策です。傷付いた場を離れ、自分の身を守ろうとし始めています。
一方、何らかの形で、保護者や教師など、周囲の大人に関わってほしいと願う動きであるとも考えられます。「あなたの味方である」との姿勢を基本としながら、子どもとの信頼関係を再構築していくことが何よりも重要です。
不登校の初期段階で、不登校が生じた理由を尋ねるのは、不登校のきっかけを取り除くためです。初期段階でそのきっかけとなったストレスに対して何らかの手が打てれば、不登校の本格化を防ぐことができるかもしれない。とはいえ、それを取り除けば、確実に再登校に結びつくわけではありません。こちら側の問いかけに応え、不登校のきっかけを語った場合、それを語ったことをしっかりと受け止めることが大切です。「よくそのことが言えたね」そして、一人で長い間悩んでいたことを理解し、「つらい思いをずっとしてきたんだね」と伝えましょう。そして本人なりに工夫した努力について、丁寧に聞き取ります。不登校のきっかけが語られない場合でも、「理由はわからない・・・。それでいいよ」と、そのことを受け入れます。実際に学校に行けない理由がわからない場合もあります。ここでは、子どもの気もちに寄り添うことが必要です。
「葛藤期」:完全不登校
不登校を維持、悪化させる要因は、大別して行動の面、感情の面、思考の面であると考えられる。行動面では、「学校の不快な場面を避けた」という安心感、安堵感が起きます。この安堵感が、翌日の学校を避ける動きを強めます。この力は強く、少々の登校への意志は、はじき飛ばされます。そして、それが不登校を長期化させる原動力になります。また、子どもは、連日、学校の不快な場面を想像しています。感情面での不快感を常に持ち続けるのです。
そして、思考の側面では、「自分はだめだ」と考えています。「思い通りに登校できない」ことと、「学校を不快に感じる」ことの2つが、「自分はだめだ」という意識を強めていきます。
「安定期」:心身ともに休む
長時間の「ゲーム、ネット(SNS・動画)、TV,コミック」
昼夜逆転 生活習慣の乱れ
この時期になると、子どもの生活空間が極端に狭まります。次第に外出を控え、出会う人を制限していきます。「人からどのように思われているか心配」という気持ちが強まり、「対人不安」を強めていきます。この傾向が強まると、ますます外出を避けるようになります。他人とのかかわりを避ければ避けるほど、自分の自信のなさだけが増していきます。
「始動期」:動き出したくなる「何かしたい」
このころになると、「ひま」「退屈」という言葉が頻繁に出てきます。「何かしたいけれど、何もできない状態と言えます。他者に対する不安や緊張が強い場合には、「一歩前に進んだけど、大丈夫だった」「大切に扱ってもらえた」という感覚を大切にして、安心して他者と付き合い、他者との関係の中で自分らしくいる体験を重ねてくことが重要です。
この時期は、物事に取り組むセルフ・コントロール力を育成するチャンスになります。何ができていて、何ができていないかと自分自身で評価できるようになることを目指します。自分のことを客観的に見つめることができるようになる時期なので、ふとした瞬間に自分のことを語ることがあります。その場合、「よくわかっているんだね。」と自分のことを見つめていることを評価します。
この時期、もっとも大切なことは、“無理をさせないこと”です。順調な場合でも、“急がなくていい”、“自分のペースで”と、子どもの先走りたい気持ちをストップさせるくらいでちょうどいいと思います。
参考文献(福本 早穂 2021「不登校からの進路選択~自分の歩幅で社会とつながる~」)
目の前の子どもがどの状態にあるのかを適切に判断することが大切です。登校刺激がかえって状況を悪化させてしまうことがあります。どの段階であっても、子どもとの信頼関係を築くことを忘れないようにしましょう。
学校に行かないという自己決定
不登校という現象は、自分を守るための自己決定です。この自己決定を周囲の大人が受け入れず、無理に登校させようとすると、自分が大切にされていないと感じ、不信感を募らせます。不登校の只中にいる子どもたちに“この体験が、先々で本人の生きていく糧になってほしい”と願い、そのつらい経験に寄り添うことが大切です。そこで、 “この子にとって、今、ここでしか出来ないことはなんだろう”という視点で考えてほしいのです。生活上、何らかの困難に直面した際に、それを解決していく力や、ストレスがかかったときにわが身を守り、ストレスを上手に発散する力(ストレスマネジメント)を育んでほしいと思います。
もうひとつ、この時期につけておきたい力は、セルフ・コントロール力である。これは、主に児童中期から後期にかけて急激に育つものです。この時期は、ものごとに取り組もうとする意欲が、人生の中で一番高く、先々を見通す思考力も育っています。セルフ・コントロールが強く、自分の欲求にブレーキをかけすぎて不登校になっていきます。または、セルフ・コントロール力が身についていないため、他の人と協調することができず、ストレスを抱えてしまい不登校になってしまう場合があります。どちらにしても、再登校だけを目指すのではなく、先々を見通して、ゆったり過ごし、本当に力を注がねばならない事のために力を蓄えておき、セルフコントロール力を高めておくことが大切になります。
やってはいけないNG行動
登校だけを目指し、子どもの心に寄り添わない
- 朝になるとおなかが痛いと訴えたり、頭がいたいと訴えたりして、学校へ来にくい2年生の女児Aさんがいます。お母さんと学校が相談して、校内のふれあい教室(不登校対応のための教室)へ行かせてはどうかということになりました。Aさんはとても礼儀正しく、教室ではいつもニコニコしていて特別に問題がない子どもです。ふれあい教室に来たAさんは、用意してあった課題に意欲的に取り組み、安定しているように見えます。これなら教室に行けるのではないかと考えた先生は、「教室へ行ってみる?」と聞いてみました。特別嫌なそぶりも見せなかったので、「じゃあちょっとだけ行ってみよう。」と言って、教室に連れていきました。教室に入ったAさんは一通り日課をこなして下校しました。次の日から学校へ来られなくなりました。
- お母さんが、学校へ行きたがらない3年生B君のことを学校に相談すると、「どうにかして連れてきてください。学校に来たらこちらで何とかしますから。」と言われて、前日の夜からB君に話をして、学校へ行く約束をしました。朝になってもなかなか支度をしないので、お母さんは叱ってしまい、泣き叫ぶB君を無理やり学校へ連れてきました。泣き叫ぶB君を無理やり先生が引き離し、お母さんに帰ってもらうと1時間もすればB君は泣き止んで、授業を受け始めました。1日が終わり、何の問題もなく下校しました。 次の日から、B君は家で暴れるようになり、学校へ連れてくることが難しくなりました。
不登校支援センターパルク
不登校支援センター「パルク」では,不登校になった小学生の居場所をつくり,そこで個に応じた学習支援や体験活動を中心としたカリキュラムを行うことで「心の元気」を回復させ,学校復帰することを目標としています。何年かかっても「心の元気」を取り戻せば子どもは学校という社会へ戻っていきます。じっくり子どもに向き合い,一人でも多くの子どもたちが自分の「キラリ☆」を見つけ,元気になっていくことを願って設立された民間型教育支援センターです。
2022年9月に設立し、企業やボランティアなどと一緒に活動する体験活動や、自分のペースに合わせた個別学習、コミュニケーション力をつける小グループ学習など、独自開発のカリキュラムを展開し、実績を上げています。2023年度は利用者21名、そのうち学校復帰は12名となっています。教職経験36年の公認心理師により、子ども一人ひとりに応じたサポートを行います。さらに保護者カウンセリングも行うことで成果をあげています。
能力開発スクール G to F
好きなこと・得意なこと「だけ」を学びながら、個性や才能を職能へ|能力開発スクール G to F|広島市
能力開発スクールG to Fは、社会で使えるスキルを学習しながら、自分の個性や才能を職能へつなげることを目的とした能力開発スクールです。ここでは、公認心理師が常駐し、メンタルサポートを受けながら受講できるため、自分の才能を一緒に見つけることができます。さらに、キャリアコンサルタントも常駐し、自分にあった職業をさがすことができます。不登校やひきこもりなど、学校や社会で適応が難しかった経験をもつ方でも安心して受講できるように、月2回(土曜日)のみ全6回の実施で、休んでも途中からでも安心して受講できるカリキュラムとなっています。コース内容も、今社会で必要とされているスキルを第一線で活躍している講師陣が指導します。
【コース一覧】
- Rejouiと共同開発
データサイエンス(BASIC)コース
データサイエンス(ADVANCED)コース
- 株式会社CodeFoxと共同開発
AI活用基礎コース
- 合同会社Geneleafと共同開発
Pythonコース
- Spica Ayuと共同開発
デザイン創造コース
- 広島工業大学・松本教授と共同開発
コンテスト参加コース